タンザニアでの活動について
「日本眼科国際医療協力会議(JICO)」は2009年に発足し、各国で活動をしている9つの眼科団体が所属し、鋭意活動を行なっています。その1つ、山﨑俊先生を中心とした「タンザニア眼科支援チーム」は遠くアフリカまで行き、貧困や医療システムの不備により、充分な医療の恩恵を受けられない患者に眼科医療を無償で提供しています。彼らの活動は過酷な状況下での適切な診療と手術、さらに治療機器の寄贈と教育を提供することにより、1人でも多くの方に視力を回復していただきたいと考えて頑張っています。もちろん、千寿製薬からは物心両面でご協力を得ております。今回は、それらの活動内容を紹介していただきたいと思います。
また、既に日本眼科医療機器協会の協力のもと、JICOのホームページ上に中古の医療機器情報を掲載し、医療機器を現場に供給するシステムが始まっています。国際協力にご理解がある企業や医療法人からの医療機器などの寄贈をお願いします。
われわれ「タンザニア眼科支援チーム(JapImTanzaniaEyeMedicalSupportTeam)」は、2007年よりアフリカ、タンザニァ連合共和国の国立ムヒンビリ大学病院で眼科支援活動を行なっております。活動開始の契機は、徳島市・藤田眼科院長の藤田善史先生を中心として行なわれている「ミャンマー眼科支援活動」に参加していた山﨑が、2006年に当時の駐日タンザニア大使であるムタンゴ氏と面会した際、「同じような活動がタンザニアでもできないか?」と相談を受けたことです。
タンザニアはアフリカ東部、赤道の南に位置し、面積は約95万k㎡(日本の約2.5倍)、人口は約4500万人(日本の約35%)で、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山とその麓で栽培されるコーヒー、そしてライオン、ゾウ、シマウマなどの野生動物が有名です。眼科医数は40人に足りず、眼科医療は資金不足などから大学病院でも充分な治療が行えない状況で、適切な支援が必要と考えられます。
チームのメンバーは、岐阜市・岐阜ほりお眼科院長の堀尾直市先生、愛知県東海市・小嶋病院部長の小嶋義久先生らを中心とした日本人眼科医と眼科医療関係者で構成されています。現地では、タンザニア在住で日本大使館に勤務している横江美貴看護師が、われわれの活動をコーディネートしてくれています。
さらには、タンザニア保健省、外務省、駐日タンザニア連合共和国大使館、在タンザニア日本国大使館、そして2005年の愛知万博でフレンドシップ提携を交わした愛知県小牧市と小牧ライオンズクラブをはじめとする多くの皆さまにご協力を頂いております。具体的な活動内容は以下の3項目で、ミャンマー眼科支援活動をお手本にしています。
1)年1回、1週間程度、現地を訪問し、超音波白内障手術の技術指導を中心とした支援活動を行う。
2)現地眼科医らと連絡を取りながら、不足している機器、薬剤などをできる範囲で提供し、これらの管理、指導を行なう。
3)タンザニア人眼科医を日本に招いて研修をしてもらう。
2013年は9月15日から21日まで金沢医科大学教授の佐々木洋先生、広島県呉市・木村眼科内科病院医長の横山光伸先生らにもご参加いただいて、第9回目となる現地での支援活動を行ないました。活動回数を重ねるごとに現地眼科医療関係者との信頼関係が深くなることを実感しますが、同時に、生活環境が異なる者たちの相互理解の難しさも感じています。
タンザニアの眼科関係者との交流を通じて、現地の眼科医療の発展を支援するとともに、この経験を通して、われわれ自身が成長していくことも重要であると考えております。