NPO法人 タンザニア眼科支援チーム(2019年次報告書)
2020.09.26更新
1 私たち「タンザニア眼科支援チーム」は、2007年よりアフリカ、タンザニア連合共和国の国立ムヒンビリ大学病院で眼科支援活動を行っております。
活動開始の契機は、徳島県藤田眼科の藤田善史先生を中心として行われている「ミャンマー眼科支援活動」に参加していた山﨑が、2006年に当時の駐日タンザニア大使だったムタンゴ氏と面会し、「同じような活動がタンザニアでもできないか?」と相談を受けたことです。
タンザニアは、アフリカ東部、赤道の南に位置し、面積約95万㎞2(日本の約2.5倍)、人口約5600万人(日本の約半分)、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山とそのふもとで栽培されるコーヒー、そしてライオン、ゾウ、シマウマなどの野生動物が有名です。眼科医はわずか30人程度、眼科医療は資金不足などの理由で大学病院でも十分な治療が行えない状況で、適切な支援が必要と考えられます。
チームのメンバーは、岐阜県ほりお眼科院長の堀尾直市先生、愛知県小嶋病院眼科の小嶋義久先生らと中心とした日本眼科医と眼科医療関係者で構成されています。現地では、タンザニア在住で日本大使館に勤務している横江美貴看護師が、我々の活動をコーディネートしてくれています。
さらには、タンザニア保険省、駐日タンザニア大使館、在タンザニア日本大使館、そして2005年の愛知県万博でフレンドシップ提携を交わした愛知県小牧市と、小牧ライオンズクラブをはじめとする多くの皆様にご協力いただいております。
1)年1回、1週間程度現地を訪問して、超音波白内障手術の儀絀指導を中心とした支援活動を行う。
2)現地眼科医らと連絡を取りながら、不足している機器、薬剤などをできる範囲で提供し、これらの管理指導を行う。
3)タンザニア眼科医を日本に招いて研修をしてもらう。
活動回数を重ねるごとに現地眼科関係者との信頼関係が深くなることを実感しますが、同時に生活や医療の環境が異なる者たちが相互理解をする難しさも感じています。
私たちはタンザニアの眼科関係者との交流を通じて、現地の眼科医療の発展を支援するとともに、この経験を通して我々自身が成長していくことも重要であると考えております。
2019年活動報告(年次報告)
タンザニア眼科支援チームは2019年6月17日から23日まで、第15回目となる現地支援活動を行いました。今回は以下6名の眼科医を中心として、支援活動を行いました。(敬称略)。中茎敏明(藤田眼科)、藤田恭史(大阪医科大学付属病院、藤田眼科)、渕野恭子(藤沢市民病院)、前沢琢磨(名古屋市立東部医療センター)、浅見哲(眼科三宅病院副院長)、山﨑俊(山﨑眼科)。主な活動内容は以下の5項目です。
1)眼科医療機器、薬剤、メスなどの消耗品の寄贈
2)日本人眼科医による講義6題
1.浅見:How to recover in case of the posterior capsule rupture
2.中茎:Technique of Capsulotomy
3.藤田:Intraoperative management of the small pupil
4.前沢:How to learn ophthalmology for Japanese residents
5.渕野:How Japanese female ophthalmologists play an active part in workplace
6.山﨑:History of Tanzania eye support program
3)医療機器のメインテナンス、寄贈機器のセットアップと使用および管理指導、これまでに寄贈してきた眼科医療機器の修理点検、管理指導など(竹内護氏、竹内建司氏)
4)超音波白内障手術の模範手術公開、現地眼科医への手術指導(浅見医師、中茎医師、藤田医師)
5)眼科医がいない郊外(Kinyerezi村)の診療所での眼科健診
2009年も前年同様に6月に訪問しました。この時期は比較的若い医師たちが大学で研修しており、講義や実地指導の場で以前よりも活発で熱心な質疑応答がみられました。若い眼科医たちが積極的に超音波白内障手術の普及に関心を示していることは、大きな手応えだと感じています。経済発展に伴う電力供給の安定も、超音波白内障手術の普及の後押しになると思われました。今回も3回目となる、眼科医のいない郊外の診療所での眼科健診を行いました。その他にも、在タンザニア日本大使館の後藤大使よりご招待をいただいた大使公邸での食事会、セレンゲッティ国立公園でのサファリ観光など盛りだくさんの内容でした。
これらからも我々の活動が微力ながらもタンザニアの眼科医療発展のために協力できればより良いと考えております。
(報告者:山﨑 俊)
2020年 年間スケジュール(予定)
1)2月22日から3月8日、タンザニア眼科医の日本での研修
2)6月27日から7月5日まで予定していたタンザニアでの支援活動は、コロナウィルス感染防止のため中止となりました。
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